臨終に最も大切な五感(匂い、音、映像など)の話

臨終に最も大切な五感(匂い、音、映像など)の話

人の死の瞬間、すなわち臨終の場には五感に関するものが最も大切なのだそうです。五感の中でも、匂い、音、映像(ビジョン)は臨終の瞬間に大きく関わり合いがあります。そのため、仏教徒は五葷(ごくん)を食べることが禁じられています。五葷が精力(性欲)を強めてしまうためといわれるほか、五葷を口にしたものが臨終の席につくことはその悪臭によって臨終者の最終映像に悪影響を及ぼすからといわれているからです。

五葷とは、五辛ともいい、「辛い・臭い」性質をもつ五種の植物のことを指します。しかし時代、場所、考え方によっても多少の違いがあるようですがたいていは、にんにく、しょうが、らっきょう、にら、ねぎ、のびるなどのことを指します。『根本説一切有部毘奈耶雑事(こんぽんせついっさいうぶびなやざつじ)』には、にんにくを食べた弟子の口臭が皆の修行の邪魔になったため釈迦が禁じたという逸話があります。ただし薬用には使われるそうで、その場合には臭気がなくなるまで隔離するということです。

『楞伽経(りょうがきょう)』では五葷に関して「悪臭は聖ならざる人にしたがい、悪名をまねく。」としています。禅寺では門前の戒壇石に「不許葷酒入山門」(葷酒山門に入るを許さず)あるいは「禁葷酒入山門」(葷酒山門に入るを禁ず)と刻んでいる所もあります。さて、その五葷によって邪魔されることなく守られる、臨終者の最終映像というものは、『往生要集』の論理ですが、死後の世界へ行ってからの映像となるのだそうです。そのために、高貴な香を焚き、鈴の音のような音を聴かせるようです。

近親者や家族に看取られて、臨終の最期の映像を美しく理想的に結べる環境というのは、現代では難しいことなのかもしれません。たいていは病院のベッドでどこかしらに管を入れられて、冷たい空気の中で息を引き取っていくのではないでしょうか。葬儀において家族による温かい見送り方を希望するのももちろん良さそうですが、その前に臨終の瞬間をどう迎えたいか、イメージしてみたいものです。家族葬では従来の方法という概念が払われる反面、僧侶の読経にも家族葬における規定などがないのが現状のようです。

仏教徒でもあまり知られていない『中有隘路救度祈願経(ちゅううあいろくどきがんきょう)』という経典があるそうです。家族葬で読経してはどうかといわれるお坊さんもいらっしゃるので、次回はその経典をみてみたいと思います。

■ 東京23区内の家族葬

 

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